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中空

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家の事情で田舎へ帰った人が、上京したと聞いた。

一泊二日の短い滞在の二日目、その人と再会した人が
「どこか行きたい場所はあるか」と訊ねたら「東京タワー」とこたえたという。
夕方の便に搭乗するまでの数時間をそこで過ごしたいと。

なんだかわかるなぁ、と思った。
今や東京タワーを凌ぐ高さの建物はいくらでもあるが、
象徴的な場所には違いない。
ぼそりと語り合ったり、
見るともなしに東京を眺めながら考えたり、
そんな時間を持ちたかったのではなかったか、と。

私はその人の、いびつな字がよれながら並び、
どこが始まりで終わりかわからないのたりくたりと進む独特な文体のファンだった。
ひと捻りふた捻り、すこし黒いユーモアでまた捻りながらも、あたたかい人肌を感じた。
読み終わり、全ての意味がどどっと押し寄せてくるような文章。
そしていつも笑った、らしいなぁ、と。
その人が残した足跡を見ることができたなら、
あっち、よれよれ、こっち、よれよれ、ときには尻の跡まであるのではないだろうか。
けれど、門には入るのだ。

文筆業に戻ると聞いた。
いつかなにかの紙面でお目にかかることを楽しみにしています。


写真は
六本木ヒルズ展望台。
by rika_okubo3 | 2009-06-21 23:49 |